Small twist

有名な理論から経験則まで、プレゼンを良くする「一手間(Small Twist)」を集めていきましょう。中の人は医療従事者(多忙)。Twitter id: presen_tan。 ※結構な割合で、自分の趣味のことを記事に混ぜています。

減点方式

プレゼンは減点方式で見られてしまう というお話。

せっかくのいい話なのに・・・

あなた(今日は有名な○○先生の講演!テンション上がるにゃー!)

~開始10分後~

プレゼンター『・・・の、nicopuri signalは、marginalであるからして、・・・』

あなた(専門用語ばっかりで、モゴモゴ言ってて全然聞き取れない・・・つらすぎるにゃ)

あなた(スライドに書かれてる"警部"リンパ節って何にゃ。"頸部"リンパ節の変換ミスに違いないにゃ。んで、そこの単語は"覚醒"じゃなくて"郭清"。警部の覚醒って、ワザとだとしても、ちょっと寒すぎるにゃ・・・)

~開始20分後~

プレゼンター『(結構大事な話をしている)』

あなた(このプレゼン、ちゃんと準備してるのかな・・・有名な先生だし、ありがたい話だと思って聞きに来たのに、すごく残念だにゃ)←プレゼンターの話は、もはや聞こえていない。

※注1 頸部リンパ節(けいぶりんぱせつ)とは、首周りに存在するリンパ節のことです。はしか・インフルエンザなどの感染症のほか、周囲の癌の転移など、様々な原因で腫れることが知られています。

※注2 郭清(かくせい)とは、手術などで根こそぎ取り除くことです。例えば、癌の根治術の際、周囲のリンパ節に癌が転移していることがありますので、リンパ節を根こそぎ取り除くことがあります。

 

減点方式

プレゼンには、聴衆の集中力を削いでしまう「マイナスポイント」が数多く知られています。上記の例で言えば、プレゼンターの口癖、スライドの誤字脱字でしょうか。他にも、部屋の空調が整ってなかった、椅子が硬かった、プレゼンターの服装が不潔だった・・・ 要するに、プレゼンの中身よりも(悪い意味で)印象に残ってしまった点、それがプレゼンにおけるマイナスポイントということになります。

 

ある人から見れば些細な問題も、別の人にとっては重大な問題だったということはよくあることです。マイナスポイントも同じで、プレゼンターからすれば些細なマイナスポイントも、実は予想以上に大きな破壊力を持っていた…なんてことはよくあります。

そして、一旦マイナスポイントにより植え付けられた「良くない印象」を、プレゼン中に吹き飛ばすのは難しいもので、多くはプレゼンの進行とともに累積していきます。マイナスポイントが1つ、また1つと積み重なるに連れ、プレゼンに対する評価が1つ、また1つと下がっていく・・・そしていつの間にか0点になってしまうのです。大学受験における英作文の採点と同様、聴衆は無意識のうちに減点方式でプレゼンを見てしまうものなのです。

折角いいプレゼンを準備してきたとしても、このような「マイナスポイント」がケチをつけてしまっては、せっかくのメッセージが台無しですよね。

 

マイナスからのスタートやね

もちろん、聴衆がプレゼンターの熱狂的な信者であれば、多少のマイナスポイントは大目に見てくれるかもしれません。(不眠不休で働いてる素晴らしい先生なんだし、これくらいのミスはあるよね♡)とか(あーいうボソボソとした喋り方が胸キュンなんですよね♡)とか。

ですが、プレゼンに参加する聴衆、全員がそのようなスタンスとは限りません。

あなたが世間によく知られているような実績をもつ有名研究者でないのなら、口演に際して心に留めておいていただきたいことがある。それは「喜んであなたの話を聴きたい、と思っている聴者は講演会場にはほとんどいない」ということだ。多くの人は『仕事だから仕方なく』学会場に足を運んでいる。

堀口安彦(2013).発表が楽しくなる!研究者の劇的プレゼン術 羊土社 p.143.

このような、ネガティブな印象を持った聴衆を相手としたプレゼン(私は「マイナスからのスタート」と呼んでいます)であれば、マイナスポイントの破壊力が特に大きいことは想像に固くありません。プレゼンを準備する際は、原則「マイナスからのスタート」、つまりこのような聴衆が一定数いると考えて、マイナスポイントの払拭を心がけなければならないのです。

※勿論、熱狂的な信者相手なら大丈夫かというとそうでもないと思います。期待値が大きいぶん、落胆の幅も大きくなりますので…。

※アニメ『ラブライブ!』1期第3話 希「マイナスからのスタートやね」より。私は、まきりんぱな推しです。

 

というわけで

人間ですので、ミスや悪癖を完全に無くすことは困難です。ですが、それら1つ1つは、あなたのプレゼンの足を引っ張り、せっかくのメッセージを伝わらなくさせる原因になりうることを忘れないでください。

せめて、誤字脱字くらいは直しましょう・・・(普段プレゼンチェックをする人からのお願い)。

参考:西脇資哲(2015).プレゼンは「目線」で決まる ダイヤモンド社 Chapter1
最終更新日:2016/10/14