Small twist

有名な理論から経験則まで、プレゼンを良くする「一手間(Small Twist)」を集めていきましょう。中の人は医療従事者(多忙)。Twitter id: presen_tan。 ※結構な割合で、自分の趣味のことを記事に混ぜています。

お化け屋敷とスパイス

プレゼンのストーリー展開はお化け屋敷をイメージすると良いというお話。

教えてやる 東大は簡単だ

少し前(と言っても10年くらい前)、『ドラゴン桜』という漫画が流行していたのを覚えているでしょうか。底辺高校に通う男女2名が、型破りな(とは言っても割と理にかなっている)勉強法を駆使して、最高学府たる東京大学の合格を目指す・・・という、王道スポ根マンガのような物語です。阿部寛主演でTVドラマ化もされましたね(TVドラマの方は人間ドラマに主軸が置かれていましたが)。

私が大学受験をする時には既に完結していましたが、私の周り(田舎の進学校でした)には、あれに影響されて東京大学理科一類を目指した・・・という人もいたように思います。私は目指しませんでしたが(^^;)

その作者である三田紀房氏の著書に『プレゼンの極意はマンガに学べ』という、軽く煽ったタイトルのものがあるのですが、そこで面白いと思った考え方の1つにジェットコースターとお化け屋敷の理論があります。

 

ジェットコースターか、お化け屋敷か

三田氏は、連載という「全体像」と、1話という「連載を構成する基本単位」とでは、ストーリーの組み立て方・考え方が変わってくると指摘しています。

連載のどのあたりで大きく話を盛り上げて、どれくらいの速度で急降下し、最終的に何ヵ所のカーブを曲がって終了するのか。連載マンガを描くうえでは、こうしたジェットコースター的な大きな設計図が必要になる。

三田紀房(2013).プレゼンの極意はマンガに学べ 講談社 p.137.

しかし一方、物語を連載の1話単位で見てみると、そこには大小さまざまな「意表を突く仕掛け」が必要だ。ページをめくると衝撃の展開があったり、予想もしなかったセリフが飛び出したり、次週への大きな「引き」があったり、といった話だ。この感覚はちょうど、数メートルごとに驚きの仕掛けが盛り込まれた、お化け屋敷に似ている。

三田紀房(2013).プレゼンの極意はマンガに学べ 講談社 p.137-8.

つまり、全体像はジェットコースターのような視点で、各話はお化け屋敷をイメージして構成を考えるとよい、ということです。そのうえで三田氏は「プレゼンは全20巻や30巻の大河ドラマではなく、連載マンガの第1話なのだから、お化け屋敷的な意表を突く仕掛けを優先するべきだ」といった主張で締めくくっています。

 

意表を突く仕掛けとは

では、プレゼンにおける意表を突く仕掛けとはどのようなものがあるでしょう。プレゼンの準備~本番の各場面で考えてみると、下記が思い浮かびました。

スライド作成
・・・目を引く色使い、アニメーション、画面の切り替え効果、効果音など

シナリオ・ストーリー
・・・世の常識の逆を行く主張(逆張り・逆風見鶏)、炎上覚悟の主張(意図的にバズらせる)、ショッキング・ステートメント(聴衆をドキッとさせる発言)など

当日の演出
・・・コスプレをして登場、スペシャルゲストの登場、ネタの披露など

 

ここでふと、自分の定期ツイートに次のような文章が登録されていたことを思い出しました。

各自、スイーツや激辛スパイスに置き換えてもらっても構いませんが、上記の美味しい食べ物とは、今日のテーマでもある「意表を突く仕掛け」と同義です。

一流パティシエが作るスイーツを「甘くて美味しい、幸せ」と感じることができるのは何故でしょう。普段から一流パティシエの作るスイーツを食べていて「最高のスイーツ」に慣れきっている人は、同じように感じることができるでしょうか。

うどんにかける一味唐辛子を「スパイスが効いている、サイコー」と感じることができるのは何故でしょう。普段から辛い料理ばかり食べていて「辛いもの」に慣れきっている人は、同じように感じることが出来るでしょうか。

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アニメ『のんのんびより』より

意表を突く仕掛けも同じです。仕掛けの密度を必要以上に濃くしたり乱発するとどうなるか。聴衆は仕掛けがある環境に慣れきってしまうので、想定されている効果(面白さ)を発揮できなくなるのです。(昔はウケてたのに、なんか今日は反応がイマイチだな・・・)って感じ。経済学でおなじみの限界効用逓減の法則ってやつです。

どのくらいの頻度で仕掛けを置くのがよいのか。実はそのバランスが難しく、かつ奥深いのです。自分なりに見つけていくしかありません。私の永遠のテーマ(の1つ)だったりします。

 

プレゼンとは少し離れますが、これはいわゆる炎上芸人やユーチューバーといったコンテンツクリエーターにも繋がる話だと思います。過激な発言や主張で注目を集めるという手法は、上記の理由で長続きするとは思えません。

では、どうすればいいのでしょう。そのまま面白くないものを維持するのか、それともより過激な方向に走るのか・・・どこかで聞いたような話ですね。

最終更新日:2016/10/20