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Small twist

有名な理論から経験則まで、プレゼンを良くする「一手間(Small Twist)」を集めていきましょう。中の人は医療従事者(多忙)。Twitter id: presen_tan。 ※結構な割合で、自分の趣味のことを記事に混ぜています。

サクランボ狩り

チェリー・ピッキング(サクランボ狩り)は、プレゼンを作る側はもちろん、聴く側にも知っておいてほしいテクニックです。

例に漏れず定期ツイートを引用すると

とある製薬会社から、『我が社が開発したイノチ=ノビィルというサプリメントは寿命を延ばす』という内容のプレゼンを依頼されたとします(要するに宣伝)。
あなたは、そのメッセージを裏付けるため、イノチ=ノビィルと平均寿命の関連について言及した様々な文献を集めました(Pub◯edとか医◯誌あたりを検索すれば出てくるんじゃないですかね・・・ たぶん)。
その結果、

①両者には正の相関がある(イノチ=ノビィルを飲めば飲むほど平均寿命は伸びる)ことを示した文献が40本

②両者には相関がない(イノチ=ノビィル摂取量と平均寿命には関連がない)ことを示した文献が50本

③両者には負の相関がある(イノチ=ノビィルを飲めば飲むほど平均寿命は縮まる)ことを示した文献が10本

 

・・・が手に入りました。

プレゼンのコア・メッセージを裏付けるのは上記①だけです。上記②③の文献はコア・メッセージに反する内容ですので、ぶっちゃけ扱いに困るところです。下手に言及すれば、イノチ=ノビィルの評判を落とすことにもなりかねません。

そこで、実際のプレゼンでは②③の存在には一切言及せず、①のみを取り上げて『イノチ=ノビィルの効果は世界一ィィィ』と宣伝してしまう・・・。これが、チェリー・ピッキングというテクニックです。

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のび~る のび~る ストップ!(ストレッチマン

引用:http://number.bunshun.jp/articles/-/825015

 

プレゼンター側から考えたチェリー・ピッキング

プレゼンを通して伝えたいメッセージをはっきりさせることができるという点で、チェリー・ピッキングは有用なテクニックなのかもしれません。上記の例であれば、①②③すべて取り上げるよりも、①のみを取り上げたほうがイノチ=ノビールの凄さが伝わりますからね。

ただし、チェリー・ピッキングによって作り出されたメッセージは、元の情報源が偏っている点で、事実を正しく反映していない「恣意的なもの」です。(100%嘘とは言えないのが厄介なところですが)限りなく嘘に近いメッセージです。都合の良い解釈とも言えるでしょう。当然、そこにお金の流れがあるのなら、詐欺と言われるかもしれません。

個人的な意見ですが、結論ありきで何かを伝えようとするとき、人は(無意識の内に)チェリー・ピッキングする傾向にあります。コア・メッセージに反するデータや、自分が作り上げたストーリーに都合の悪い意見は黙殺するのです(あるいは、最初から視界に入らないのかもしれません)。

特に、プレゼンは言いたいことを決めてから作り始めることが多いですので、ついついチェリー・ピッキングに陥ってしまいがちなのです。

 

聴衆側から考えたチェリー・ピッキング

プレゼンのテーマに関してある程度精通した聴衆であれば(このプレゼン、めっちゃチェリー・ピッキングしてるやん)と即座に気づくことが出来ますので、騙されることもないでしょう。或いは質疑応答で的確にツッコミを入れて、正すことが可能です。

ですが、そうではない大多数の聴衆にとっては、チェリー・ピッキングはいつ陥るとも分からない落とし穴なのです。チェリー・ピッキングにより恣意的に作られたメッセージを、無意識の内に受け入れてしまう・・・そうならないためには、普段から(この情報はチェリー・ピッキングではないのだろうか?)と、一歩引いた視点で見つめ続ける姿勢が大事なのでしょうが、常にそうあり続けるのも難しいもの。

結局、最後はプレゼンターの倫理観や情報収集能力次第なのかもしれません。

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\チェリーエナジー!/

特撮『仮面ライダー鎧武』より

最終更新日:2016年10月23日